【視察報告】部活動はどうなる?金沢市へ活かす!新潟市の先進事例に学ぶ「地域移行」の現実と未来


こんにちは。金沢市議会議員の宇夛裕基です。

先日、文教消防委員会として、新潟市へ視察へ行ってまいりました。

現在、金沢市でも中学校の部活動改革、すなわち「地域移行」に向けた議論が進んでいます。
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一部の部活動ではモデルも始まっております。保護者の皆様、そして子どもたちが抱える「これから部活動はどうなっていくのか」という不安を少しでも軽減したいという思いをもって、今回、先行して改革を進めている新潟市の取り組みを視察しました。

新潟市がまとめた資料から、地域移行の目的と、私たちが直面する具体的な課題への解決策が見えてきました。

1. なぜ「地域クラブ活動」への移行が必要なのか?

新潟市が部活動改革を進める背景には、大きく分けて三つの理由がありました。これは金沢市にも共通する課題です。

  1. 少子化による活動維持の困難:生徒数の減少により、一部の競技(軟式野球やサッカーなど)では、単独校で大会に出場できない状況が発生しています 。
  2. 多様なニーズへの対応:既存の部活動にはない、ダンスや弓道、写真・カメラ、ギターなどの活動をやりたいという中学生の多様なニーズに応える必要がでてきました。
  3. 教員の働き方改革:部活動の主顧問は、部活動を担当していない教員と比較し、月平均で8.6時間も時間外在校時間が長く、教員の長時間勤務の大きな要因となっています 。

この改革は、「子どもたちの活動機会の確保」「教員の教育活動の充実」の両立を目指すものです 。

2. 「いつ」「何が」変わり、「不安」にどう対応するか

最も気になる「部活動の今後」と、保護者の皆様が抱きやすい不安な点について、新潟市の計画から具体的な内容を抽出しました。

疑問点(保護者の不安)新潟市の対応・計画(令和8年度以降)
いつから変わる?令和8年度以降休日の部活動は実施しません 。平日の部活動実施は学校が判断し、原則16時45分までとなります 。
活動場所はどうなる?中学校施設を引き続き利用できるよう準備中です 。地域クラブは、平日17時〜19時、休日9時〜19時に中学校施設を利用できるよう準備を進めています 。
誰が教える?競技経験や専門性のある地域指導者(教員を含む)が指導します 。
費用はかかる?クラブの月会費等は保護者負担となります 。市独自の補助金制度(指導者謝金・研修受講料の1/2補助など)により、会費の低廉化を支援しています 。
怪我や事故の対応は?原則として、活動を運営・実施する団体が対応します 。
備品は使える?現在使っている学校の備品は借りられるよう準備中です 。ただし、消耗品(ボール、シャトル等)は地域クラブで準備が必要です 。

3. 子どもたち、地域、学校に期待される効果

この改革は、単なる移行ではなく、生徒の成長と生涯にわたる活動機会の確保を目的としています。

【生徒にとっての期待される効果】

  • 自分の好きな活動に参加でき、部活動にはなかった競技や活動にも参加できる 。
  • 複数のスポーツ・文化芸術活動に参加できる 。
  • 学校内外の多世代と関わることによる、社会性や郷土愛の醸成 。
  • 中学校入学前から卒業後も活動を継続できる、生涯にわたる機会の確保
  • 競技経験や専門性のある指導者からの指導を受けられる 。

まとめ:金沢の不安を安心に変えるために

新潟市は、「地域全体で子どもたちの活動を支える」という強い決意と、そのための具体的なロードマップを示していました。

特に、不安を感じる保護者や子どもたちに対し、「学校施設は継続して利用できる」「専門の指導者が教える」「情報提供システムを整備する」という形で、具体的な安心を提供している点が大変参考になりました。

金沢市においても、新潟市の先行事例を活かし、子どもたちと保護者の皆様が抱える不安を一つずつ丁寧に解消し、「やりたい」が見つかる豊かな活動環境を整備できるよう、政策に反映させてまいります。ご意見・ご質問がございましたら、いつでもお寄せください。